01***スタートは、キャバ嬢

昔から「水商売」というものにすごく憧れをもっていた。
わけではなかったのかも。

幼い頃から私はめちゃくちゃ派手好きで、「イケイケ」(現在死語)のお姉さんなんかはすごく憧れだった。中学時代に拍車がかかり、派手なネイルに派手な服装をしはじめると、父親に「水商売の女みたいだ」と文句を言われたことがあった。
水商売の女みたい?それは悪いことなのか?
と、心の中で説いたことは覚えてる。

高校2年生の夏に、繁華街でいわいる「キャッチ」にあったのが私の水商売人生の始まりだ。
「ねぇねぇ何してるの?今ちょっと話せない?」そういってスーツを着た男が名刺を差し出した。
「今キャバクラのスカウトやってるんだけど、時給2500円からだよ。どう?」
当時物欲が激しくて、当時ファミレスで働いていた私は、バイト代の8万強は2日や3日で全部使い切るという恐ろしい程の金使いの荒さだった。
何に使っていたかというと、エクステをつけたり欲しい服を買いまくったり、と無駄使いだった気がする。
あれだけ金がない金がないと思っていたわりに、援助交際の道は通ってきていない。
プライドがあった。
とかいってみるけど実際、ビビり症な私は援助交際に手をつける勇気がなかっただけなのかもしれないけど。

時給2500円。
当時のファミレスのバイトが850円だった。
破格の値段だ。

あたしはすぐに男についていった。今思えばとてつもなく恐ろしい行動である。
この男がもし怪しい風俗店か何かの男だったとすれば、今頃取り返しのつかないことになっていると思う。店に連れて行かれ、軽い面接があった。
「源氏名はどうしようか」そう聞かれた際「うーん」と悩んだあたしに店長が言った。
「ルイにしよう。そんな顔してるし」
一瞬「は?」と我が耳を疑ったのだが、気がつけば私は、「ルイ」になっていた。
そんな顔してるし、の謎はいまだわからないのだが、この時に店長につけてもらった「ルイ」は、私のこれから始まる水商売人生で一番長いお付き合いの源氏名になる。

オープン前になると続々女の子が出勤してきた。
色白でキレイなお姉さんに、ギャル軍団、クラスにいそうなちょっぴり地味な女の子。
と、種類は色々。
その日の出勤人数は平日にもかかわらず20〜25人くらいで、今おもえば結構な「大御所」店だったと思う。
気がつけば店にあったドレスに着替えさせられ、そのまま店の専属メイクさんがヘア・セットをしてくれて、「さぁーいってこい!」と、店長に背中を押された。

19時、店がOPEN。
その瞬間から、あたしはキャバ嬢になった。
暗い照明の上を騒がしく回るミラーボール。
周りはみんな敵だらけに見えた。

好奇心と金銭目的でもぐりこんだ夜の街、そして「キャバクラ」という世界。
私は圧倒された。

すきあらば触ろうとしてくる客に、酔って抱きついてくる客。
お客さんとお酒を飲みながら会話を楽しむ、なんてレベルじゃなかった。
どの席についても体を求められるし、下ネタトークが全てを支配していた。
後から調べたところによると、私が勤めたその店は、数あるキャバクラの中でもかなりの「下品」店だった。何も知らずに飛び込んだのは間違いだった。
キャバクラに入店すると決めたら、「周りからの情報」をチェックしなくてはならない。
飛び入り参加ほど危険なものはない。


あたしはその店を1ヶ月で去ることになる。
この店で得たものは、のちに親友と呼べるようになる2人の友達と、無知であることの怖さ、だったと思う。




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