004***大親友,風俗嬢.姫ちゃんとの出会いA


その日以来もずっとメールや電話で連絡を取り合い、一週間に1、2度仕事帰りにご飯を食べ、休日には買い物に行った。
いつの間にか仕事が終わればすぐに姫ちゃんに電話するようになっていた。
「聞いて今日ねママが誉めてくれた」
「マジでよかったね。私も今日がんばったぁ」
なんて内容で、お互い愚痴を言ったり誉めあったりで、

姫ちゃんとであって1ヶ月が経とうとしていたころには私にとって姫ちゃんは欠かせない存在になっていた。
もちろん姫ちゃんには彼氏の店の名前も教えた。
「まじでー」姫ちゃんは驚いていた。
だけど姫ちゃんの口から、姫ちゃん自身の彼氏の名前を聞くことはまだなかった。
時間が経てば話してくれる、そう思った。

そしてある日、私は衝撃を受けた。
家の中には風俗情報誌がある。彼氏がちょこーっと雑誌に載ったので喜んでもって帰ってきたものである。
私はペラペラとページをめくった。
前半はホスト特集みたいなので、後半は風俗嬢がグラビアで登場していた。
「風俗嬢か、よくやるよな」
なんて思いながらページをめくっていたのだけれど、私はあるページに目をとめた。

「これ..」

ホテルヘルス「●●●」店 人気No1 姫チャン

私は驚きを隠せなかった。下着姿で微笑むのは、なんと姫ちゃんだった。
得意プレーからスリーサイズ、「いつでも呼んでくださいね♪」とメッセージ付きだ。
月給250万円の人気フードル、と書かれていた。
ホテルヘルスってどういうこと?私は混乱した。
そしてすぐに姫ちゃんに電話をした。

「もしもし?どうしたー?」
姫ちゃんのいつもの明るい声が聞こえた。
「あのね。私●●●って雑誌見たんだけど..姫ちゃん載ってた?」
そう言うと受話器の向こうが一瞬、沈黙になった。
そして姫ちゃんは答えた。
「うん、あたしだよ。」
一瞬頭の中が凍りついた。姫ちゃんはすぐに続けた。
「あのね、S。今から会えない?ちゃんと話したい」
「ううん、私、用があるから!!」
私は逃げるようにして電話を切った。時計は深夜の3時半。用事なんてなかった。
風俗嬢..
当時のあたしはたったそれだけの理由で姫ちゃんを拒否したのだ。
その後も姫ちゃんから連絡は耐えなかった。
メールには「嘘をついてごめんなさい。軽蔑されると思ったの。会って話したいです」ときていた。
私は姫ちゃんを拒否し続けた。

拒否して2週間が経ったころ、姫ちゃんからいっさいの連絡がなくなった。
安心している自分がいた。
おそろいで買ったシャネルのグロスにディオールのネックレス。
全部タンスの中にしまい込んだ。
「姫ちゃんの話最近しないね」と彼氏に言われた。
「忙しくて会ってないんだ」と、私は嘘をついた。


そしてさらに1週間後、私は深夜2時店を出た瞬間驚いた。
何と姫ちゃんが店のビルの下に立っていたのだ。
「姫ちゃん!!」
私が呼び止めると姫ちゃんは「Sちゃん!待ってたの」と言った。
「ごめんねしつこくして..でも絶交切られても最後に話だけはしたくって」
と、泣き出しそうな顔でつぶやいた。

その瞬間、私は姫ちゃんを苦しめていたことにようやく気がついた。

そして24時間営業の喫茶店に入り話をした。
姫ちゃんは、風俗嬢だと話そうとしたけど、私に軽蔑されるのが怖かったと話した。
17歳のときにキャバクラに入店。
そしてホストクラブのAというホストを好きになった。
告白をしたら彼氏がOkしてくれて晴れて交際がスタート..したのに
「今週はシャンパンをおろして」だの「俺のホスト人生にかかってる」だの言って
バンバン姫ちゃんを店に呼び、そのたび高級シャンパンをあけさした。
18歳でヘルスに転職。
彼氏のため、と、泣きながら初日を終えたらしい。
今も「彼氏」は、そのおろせおろせホストだ。間違いなく営業恋愛(色恋)だってわかってるのに好きでとめられない..
と姫ちゃんは泣きながら言った。

私は話を聞きながら、なんて残酷なことを姫ちゃんにしたのだろうと思った。
全ては仕事だ。
ホステスだってキャバクラだって風俗だって、仕事だ。
風俗嬢は高いお金をもらってる。
リスクを背負って働いている。
そんな彼女達を汚いだとか、ありえないだとか軽蔑していた自分は何様だったのか。
風俗嬢であろうホステスであろうキャバクラであろう
警察であろう弁護士であろうもう何だっていい
そんな職業の前に、私たちは人間であり、姫ちゃんと私は友達だ。

彼氏とは別れた方が絶対いいよ。
私はそう言った。姫ちゃんもうなずいた。
2人で朝まで語った。

あの日から1年近く経つのに、昨日のことみたいに明確に覚えてる。
私たちは相変わらず毎日連絡を取って、週に2,3度はご飯に行く。
姫ちゃんは彼氏を断ち切ることができた。
そしてネイルアートの学校に通い始めた。
ホストは色々な人間がいる。彼氏だってドコかそうやって生きてるのかもしれない。
一概に誰が悪いなんて言えないけれど。

姫ちゃんはホテヘルの道をまだ、歩いている。
「誰のためでもないよ。今は自分のために稼いでる。お金を貯めて自分のネイルの店、開くんだぁ」
姫ちゃんの夢。
私は応援したいと思ってる。




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